ogasawara 牛を飼う事を職業として早や30年が過ぎようとしている。父の代から始めた牛飼いを継ごうと思った中に自分の想いがあったかどうか、今思い出せない程の動機の中でやり始めた酪農。ただスタートこそ、ゆっくりではあったけれど、牛乳生産に対してただひたすら増産と効率生産を追い続けた今日までだったように思う。
それが我が家のため、家族のため、会社のためと自分自身に思い込ませて・・・。

junkan しかしながら前しか見なかった自分が50才を過ぎ、人生どう考えても今まで生きてきた時間よりも、今から生きていく時間の方が確実に短いと感じ、果たしてこれでよかったのかと自問し、後ろを振り返ると自分の歩いてきた道の幅の狭さを強く感じてきた。
牛乳生産だけではない「酪農」、自然が循環する農業の中の「酪農」、そんな酪農を展開して初めてこの地に「小笠原牧場」の存在意義と価値が生まれてくるのではないか。そうしてこそ自分が一生をかけた職業に対する満足感が得られるのではないかと感じている。

bokujo その一つの手法として乳製品の加工、販売を考えたい。牛乳は生鮮食品だと常々考えている。我々が地元に提供できる最高のサービスは新鮮さである。新鮮な原乳を材料に、いち早く地域に提供できる。その美味しさは何物にも勝ると思う。酪農は字の如く、本来は乳(酪)製品まで作って酪農である。日本の酪農の歴史は浅いように思われるが、乳製品は古く飛鳥時代の蘇に始まる。そして醍醐味という言葉が最高に美味しい乳製品からきているように、欧米はもちろん日本の文化までも創造していることは歴史が証明している。
戦後、酪農が高度に事業化し時代が効率を求め本来の酪農が育つ環境が失われつつあったが、そのつけが今、自然環境の悪化や人間性の問題となって表れている。資源循環型酪農、そして乳製品加工による地産地消によって酪農の価値を高め我々が一生をかけた酪農で地域に貢献したい。

小さな力ではあるが「牛乳文化の創造」に寄与できれば!!

有限会社小笠原牧場
代表取締役 小笠原正秀